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税理士は何をやってくれるのか?その2

税理士の仕事は、一応、税理士法という法律に
「税理士は、・・・申告納税制度の理念にそって、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする。」
といった感じで書かれています。

お堅い法律ですが、この中の「申告納税制度の理念にそって」の部分が理解できないと、正直何やってるのかわからなくなるんですよね。

上の条文を私なりに要約すると、(お客様自身が)自分で課税標準と税額を計算し納付する制度(申告納税制度)にそって、税金を必要以上に多く納めすぎたり、少なく納めたりすることがないよう、サポートする。
これが本来の税理士の仕事だと思います。

「自分で課税標準と税額を計算できるようになったら、税理士の仕事が無くなってしまうけどそれでいいの?」
と思われるかもしれません。

ずばり、本当にできるようになったのなら、それでいいんだと思います。
顧問料をもらえなくなるのは悲しいですけどね。

最近は会計ソフトの発達により、とりわけ所得税については税理士を頼らずとも、ある程度正確な決算書・申告書が作成できるような環境が整いつつあります。まだまだ甘い面もありますが。
国民の「納税の義務」を本人だけで完結できるなら、それは社会全体にとっていい方向に決まっています。
そういう流れの中で仕事が無くなるからといって、決算や申告を専門領域として無理にブラックボックス化すると、逆に信用を失うことになるような気がするんですよね。

特に個人事業主のお客様には、何から何まで引き受けるのではなく、極力わかりやすく説明して、自分でできるようになったことをありがたがってもらったほうが、仕事にも付加価値を付けやすくなるんじゃないかなと思います。

長くなりましたが、もう少し続きます。

税理士は何をやってくれるのか?その1

「税理士さんって何をやってくれるんですかぁ~?」
こんな質問をされることがたまにあります。

その素朴な質問には「税理士なんて税金の計算して偉そうにしてる人でしょ。」という冷ややかな感じが伝わってくるようで・・・。
少し被害妄想ぎみですね。(^^;)
税金の計算はしますが、偉そうかどうかは税理士によります(相手の感じ方にもよります)。

「何をやってくるれるのか?」
具体的に挙げてみましょう。
申告書や決算書の作成、税務相談、記帳代行、年末調整、経営相談、法人設立サポート、プライベートな相談も結構多いです(わりとハードなものまで)。
プライベートな相談なんて税理士にするわけないだろ?と思われるかもしれませんが、中小企業の売上、資金繰り、家族構成などをよく知る立場にあるということは、そういうことなんだと実感するようになりました。事態が深刻なほど、友人や知人に相談しにくいということもあります。

税理士はある意味生臭い職業で、仲の良い友人が知らないことも立場上知ることになり、しかも毎年の決算・申告のご依頼であれば、お付き合いも長くなります。ですから、数字を自在に扱いビジネス以外はクールに一線を画す。なんてカッコイイことはまずできません(でも税理士にそういうイメージを持ってる人も結構多いかなと)。
結局「税務相談所」ではなく「よろず相談所」になります。
まぁ、税務以外は基本的に門外漢ですので、全て自分でというわけにはいきません。自分にできることであれば。というスタンスでやってます。

でも、あえて「何をやってくれるのか?」を一つ挙げるなら、税理士には公にされた「使命」というものがあります。
なんだか堅苦しそうですが、以外にしっくりくる回答が隠されています。
長くなりそうなので、続きはまた次回に。

法人税の実効税率

法人税の実効税率についてまとめてみました。

実効税率は次のとおりです。

※3月決算で、東京都23区の法人を前提としています。
[table id=13 column_widths=”20%|20%|60%|” /]
※1 住民税、事業税の超過税率を適用、事業税の軽減税率不適用法人として計算しています。
※2 住民税、事業税の超過税率を不適用、事業税の軽減税率適用法人として計算しています。

実効税率の算式は次のとおりです。

実効税率=A/B


  • 法人税率×(1+住民税率+地方法人税率※1)+事業税率+事業税率※2×地方法人特別税率

  • 1+事業税率+事業税率※2×地方法人特別税率

※1 平成26年10月1日以後開始事業年度より地方法人税が課税されます。
※2 標準税率を用いています。
※3 住民税の均等割、事業税の資本割・付加価値割は計算に含まれていません。

中小会社においては、実効税率は主に納税予測に使用しますので参考にしてください。

やはり現金は自動化できない。

今やほとんどの会計ソフトで、銀行口座やクレジットカードの取引について、自動取り込みが可能となりました。

最後の砦は「現金」です。

しかし、こればかりはどうにも自動化できません。

物としての紙幣と硬貨のやり取りは、当人にしかわからない。

入力や仕訳の自動化は、誰かが取引の決済を見張っているという客観的な事実がなければ成立しないものです。
例えば、銀行やクレジットカード会社など。

全ての取引を自動化するためには、現金取引をやめなければなりません。
現金取引を極力避けることはできますが、完全になくすことは難しいでしょう。
なぜなら、消耗品や事務用品の購入、打合せや接待の飲食にかかる支出については、紙幣や硬貨しか使用できないお店が多いからです。

また、現金取引は他の決済手段に比べて、客観性が乏しいのもの事実です。
客観性を保証するための領収書の保存は大切ですが、領収書があれば間違いないかといえば、そうでないかもしれません(私は基本的に信用しますが)。
現金取引であれば、全く関係ない他の人から領収書だけをもらうことだって可能ですし、当人が取引を隠ぺいするため領収書を破棄した場合、調査は非常に困難になります(もちろん違法行為です)。預金取引であれば取引記録は通帳に残ります。

そしてミスも起きやすいです。レーシート1枚紛失しただけで、当然現金の実際有高と帳簿残高は合わなくなります。
数日経理をさぼると、合わない金額がどんどん大きくなり、現実離れした帳簿残高が独り歩きを始めます。そうなると合わなくなった原因は、当人にもわからないといった状態になります。

所得と税額の正しい計算のためには、いろいろと面倒な現金取引を少なくすることも、一つの近道と言えるでしょう。

しかし、全てを自動化できたとしても、問題はその中身ですが。その話はまた後日。

法人成りのご相談で思うこと。

「個人事業でいくらぐらい稼いだら、法人成りしてもいいの?」

とのご相談をよく受けます。

「好きな時に、ご自由に。」とは言えません。主に節税面からのご相談ですからね。

まず「稼ぐ」ですが、おそらく「収入(売上)」と認識されていると思いますので、それを「所得(もうけ)」に改めなければなりません。
所得税や法人税は、収入ではなく所得に対して課される税金だからです。
ちなみに、個人事業主の所得は、収入金額-必要経費で計算されます。

では、その所得がどのくらいのラインなら、法人成りしてもよいのでしょうか?

税理士によって回答が違います。

  • 100~200万円ぐらいと答える税理士ははまずいないでしょう。
  • 300~400万円ぐらいと答える税理士は意外といます。
  • 500~600万円ぐらいと答える税理士はかなりいると思います。私もここです。
  • 700~800万円ぐらいと答える税理士も多いでしょう。
  • それ以上と答える税理士もいます。

どれが正しいのでしょうか?

「正直、わかりません・・・。」
そもそも、この中に正解があるなら、いきなり法人開業すること自体が間違いということになってしまします。
そんなことは決してありません。

私が500~600万円のラインだと思うのも、独自のモデルケースを持っているからに他なりません。
そのモデルケースは、当然税理士によって違います。
専門家でも意見が分かれるのは、想定する企業のモデルが異なるからです。

私の場合「まず一般的な例によると・・・・」と持論をご説明し、
お客様のお話を伺っていく過程で、回答をその都度補正していきます。
持論はあくまで相談の出発点に他ならず、押し付けても意味がありません。
お客様が「よし、それなら法人化してみよう!」とか、「いや、今はまだ時期尚早かな。 」
と決断できることが重要だと考えます。

非常勤役員について。その2

非常勤役員についてまとめてみました。その2

非常勤役員に対する給与の決め方

税法上、非常勤役員に対する給与の決め方について、具体的な基準はありません。
実務上は、以下のとおり取り決めます。

形式基準

「株主総会等」で役員給与の支給限度額が定められており、加えて、「給与規定」で非常勤役員に対する支給基準が定められている。

実質基準

会社の主要な業務執行や意思決定に関与しているか否かが判断基準として重要になります。

  • 取締役会等に出席する。
  • 人事権を持っている。
  • 得意先・仕入先の選定権を持っている。
  • 銀行交渉や重要な契約の決定権を持っている。

会社法上の役員の人数を満たすために、代表者の家族、親戚、知人を非常勤役員に就任させた場合には、原則、無報酬です。
支給するとしても名目的な金額が無難です。

役員(常勤・非常勤)の給与が高すぎると税務署から指摘される場合

法人税法では、以下の基準によって判断され、高すぎると認定されれば部分的に経費(損金)とはなりません。

実質基準

個々の役員に支給した給与の額が、次の要素からみて多すぎる場合

  • 職務内容や出勤日数
  • 会社の収益状況
  • 使用人の給料の支給状況
  • 事業規模が同程度の同業他社の役員給与の額
形式基準

議事録により定められている「役員給与の支給限度額」が、「実際の支給額」より少なかった場合には、その「役員給与の支給限度額」を超えた部分については、高すぎる役員給与となります。
役員給与の総額のうち、非常勤役員の給与が高すぎるか否かは、会社における非常勤役員の職務の内容や他の非常勤役員とのバランスなどにより判断することになります。

以上、給与についても、税法上は非常勤役員も常勤役員も同様の取扱いとなります。

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