税理士

税理士とは顧問契約を結ばなければならない?

「税理士とは顧問契約を結ばなければならない?」

よく聞かれます。
答えは、「顧問契約といってもいろいろあるので、契約の中身が重要です。」

そもそも「顧問契約」について、法律上、明確な定義はないようです。

顧問契約とは
「コトバンク、顧問とは」https://kotobank.jp/word/%E9%A1%A7%E5%95%8F-504926

用語としての「顧問」とは、「専門的見地から指導や助言などを行う役職」のことのようです。
税理士に置き換えれば、「税務に関する専門家として、指導や助言などを行う社外の人」と言ったところでしょうか。
この指導や助言に相当するのがいわゆる「税務相談」ですね。
さらに、税理士が、納税者に代わって税務調査対応などを行う「税務代理」も顧問的な意味合いが強いでしょう。
これらは、必ずしも仕事の完成を約束しているわけではないので「委任(委嘱)契約」とほぼ同じかと思われます。

でも通常は、決算書や税務書類(申告書など)の作成も、いわゆる「顧問契約」に含まれています。
この部分だけ依頼すると考えれば、具体的な仕事の完成を約束していますから「請負契約」とも言えます。

結局、何をやってくれるのか(何を依頼するのか)は、契約の中身によるということです。
「顧問契約」という表現に抵抗があるなら、「業務委嘱契約」でもいいでしょう。
どちらも仕事を依頼する契約に変わりありません。

また、「毎月顧問料が発生するから顧問契約?」みたいな誤解も多いです。
これもおかしな話で、年間契約で年1回の支払いでも、専門家として指導や助言などを行うなら「顧問」の「料金」です。
料金の支払方法が「月々払い」か「年1回払い」かの違いでしかありません。

顧問契約に限らず、契約を結ぶときは、

  • 何をやってくれるのか?
  • その対価は?
  • 期間は?

この3点にまずは着目すべきです。

税理士は何をやってくれるのか?その3

「何をやってくるれのか?」
つまるところ、専門の税務(税務代理、税務書類の作成、税務相談)以外の何をやってくれるのか?ということなのでしょう。

思いついた業務を挙げていくと、

  • 決算書の作成
  • 記帳代行
  • 給与計算代行
  • 社会保険手続
  • 経営計画作成
  • 経営相談
  • 助成金申請
  • 外部資金調達
  • 法人設立
  • などでしょうか。

    でも、これらの業務はご自身でもできます。
    さすがに決算書は税理士が作成することになると思いますが、他の業務は税理士が全部やらないほうがいい場合もあります。
    簡単なアドバイスや一部のサポートだけで十分対応でき、費用もかからず効率がいい場合もあります。
    以下、正直に思うところを書いておきますね。

    記帳代行、給与計算代行

    記帳に関わらないと経理は身につきません。どうしてもやりたくない人以外はやったほうがいいです。記帳も給与計算も専用ソフトを利用すれば今は簡単です。経理は本来企業の経営(経営計画など)に役立てるためのもので、税金の計算をするためのものではありません。

    社会保険手続

    一度やり方を覚えればさほど難しいものではありません。説明を受けながらでも十分対応できます。

    経営計画作成

    ほとんどの税理士が積極的です。経営に関する計画ですから主体は経営者、税理士はサポート役です。ポイントは経営者が業績数値に関心があるか、読めるかどうかです。経理がわからないと数値は読めません。数値が読めないと経営計画は立てられません。

    経営相談

    経営に対する考え方などを共有できそうな税理士を選ぶことが重要だと思います。よい相談相手となってくれるでしょう。ただ、税理士は実際に営業したり企画したりはしませんし、できません。

    助成金申請

    地に足の着いた経営計画が作成できていれば問題ありません。

    外部資金調達

    税理士のコネだけで融資が受けられるようなことは絶対にありません。会社の業績で判断されます。

    法人設立

    税理士は他人の登記業務を行えません。最初から司法書士なのどの紹介を受けたほうが手続きもスムーズに進み、安く済みます。激安料金で設立してもらっても結局顧問料が割高になるだけです。

    このように、税理士になんでも任せると結果として企業のためにならない場合もあります。

    税理士を選ぶときに、何より重要なのは相談のしやすさです。次に適正な価格設定でしょうか。
    結局のところ、一度会ってみて何でも相談できそうだなと思ったら、それがたぶん一番いい税理士なんでしょう。
    でも「相談のしやすさ」=「なんでもやる」ということではありません。
    私も専門分野以外の仕事はできる範囲で、というスタンスでやっています。

    「何をやってくれるのか?」=「全部やってくれなきゃヤダ」という考え方だとしたら、改めたほうがいいかもしれません。
    性格の合わない税理士を選んでしまう可能性がありますよ。

税理士は何をやってくれるのか?その2

税理士の仕事は、一応、税理士法という法律に
「税理士は、・・・申告納税制度の理念にそって、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする。」
といった感じで書かれています。

お堅い法律ですが、この中の「申告納税制度の理念にそって」の部分が理解できないと、正直何やってるのかわからなくなるんですよね。

上の条文を私なりに要約すると、(お客様自身が)自分で課税標準と税額を計算し納付する制度(申告納税制度)にそって、税金を必要以上に多く納めすぎたり、少なく納めたりすることがないよう、サポートする。
これが本来の税理士の仕事だと思います。

「自分で課税標準と税額を計算できるようになったら、税理士の仕事が無くなってしまうけどそれでいいの?」
と思われるかもしれません。

ずばり、本当にできるようになったのなら、それでいいんだと思います。
顧問料をもらえなくなるのは悲しいですけどね。

最近は会計ソフトの発達により、とりわけ所得税については税理士を頼らずとも、ある程度正確な決算書・申告書が作成できるような環境が整いつつあります。まだまだ甘い面もありますが。
国民の「納税の義務」を本人だけで完結できるなら、それは社会全体にとっていい方向に決まっています。
そういう流れの中で仕事が無くなるからといって、決算や申告を専門領域として無理にブラックボックス化すると、逆に信用を失うことになるような気がするんですよね。

特に個人事業主のお客様には、何から何まで引き受けるのではなく、極力わかりやすく説明して、自分でできるようになったことをありがたがってもらったほうが、仕事にも付加価値を付けやすくなるんじゃないかなと思います。

長くなりましたが、もう少し続きます。

税理士は何をやってくれるのか?その1

「税理士さんって何をやってくれるんですかぁ~?」
こんな質問をされることがたまにあります。

その素朴な質問には「税理士なんて税金の計算して偉そうにしてる人でしょ。」という冷ややかな感じが伝わってくるようで・・・。
少し被害妄想ぎみですね。(^^;)
税金の計算はしますが、偉そうかどうかは税理士によります(相手の感じ方にもよります)。

「何をやってくるれるのか?」
具体的に挙げてみましょう。
申告書や決算書の作成、税務相談、記帳代行、年末調整、経営相談、法人設立サポート、プライベートな相談も結構多いです(わりとハードなものまで)。
プライベートな相談なんて税理士にするわけないだろ?と思われるかもしれませんが、中小企業の売上、資金繰り、家族構成などをよく知る立場にあるということは、そういうことなんだと実感するようになりました。事態が深刻なほど、友人や知人に相談しにくいということもあります。

税理士はある意味生臭い職業で、仲の良い友人が知らないことも立場上知ることになり、しかも毎年の決算・申告のご依頼であれば、お付き合いも長くなります。ですから、数字を自在に扱いビジネス以外はクールに一線を画す。なんてカッコイイことはまずできません(でも税理士にそういうイメージを持ってる人も結構多いかなと)。
結局「税務相談所」ではなく「よろず相談所」になります。
まぁ、税務以外は基本的に門外漢ですので、全て自分でというわけにはいきません。自分にできることであれば。というスタンスでやってます。

でも、あえて「何をやってくれるのか?」を一つ挙げるなら、税理士には公にされた「使命」というものがあります。
なんだか堅苦しそうですが、以外にしっくりくる回答が隠されています。
長くなりそうなので、続きはまた次回に。

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