消費税

フリマアプリを利用した場合の古物商特例

古物商には、一定の事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除を認める「古物商特例」がありますが、フリマアプリを利用して古物を購入した場合も対象となるのでしょうか?

古物商特例とは、古物営業を営む者が、インボイス発行事業者でない者からの古物の購入をした場合、インボイスの保存がなくても、一定の事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除を認める特例です。
一定の事項とは、

  • 取引の相手方の氏名(名称)及び住所(所在地)
  • 取引年月日
  • 取引内容(軽減対象である場合はその旨)
  • 支払対価の額
  • 古物商特例又は質屋特例の対象となる旨

フリマアプリでは、一般個人消費者と事業者が混在して出品をしており、出品者(仕入先)がインボイス発行事業者であるかどうかの把握が難しい場合もあります。
注意点としては、

  • 「インボイス発行事業者であることを確認できた場合」は、原則(インボイスの受領及び帳簿の保存)による仕入税額控除の適用となります。
  • 「インボイス発行事業者でないことを確認できた場合」は、古物商特例(一定の事項を記載した帳簿のみの保存)による仕入税額控除の適用となります。
  • 「インボイス発行事業者かどうか、そもそも確認ができない(していない)場合」は、原則による仕入税額控除も、古物商特例による仕入税額控除も、どちらも適用できません。

フリマアプリには出品者と購入者が匿名で取引できるようになっていますが、一定の期間内であれば、購入者が出品者に対してメッセージを送ることができるものもあります。
実務的にはこうした機能を利用してインボイス発行事業者かどうかの確認を行うことになると思われます。

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フリマアプリを利用した場合のインボイスは必要?

事業で使用する備品などをフリマアプリで購入した場合、インボイスの保存がなければ、やはり仕入税額控除の適用は受けられないのでしょうか?

インボイス制度では、インボイス及び帳簿の保存が仕入税額控除の要件となっています。
フリマアプリで備品などを購入した場合でも例外ではなく、インボイスの保存がなければ仕入税額控除の適用を受けることはできません(少額特例等に該当する場合を除く)。

フリマアプリには出品者と購入者が匿名で取引できるようになっていますが、一定の期間内であれば、購入者が出品者に対してメッセージを送ることができるものもあります。
実務的にはこうした機能を利用してインボイス発行事業者であるかどうかの確認を行い、発行事業者であればインボイスの交付を求めることになると思われます。
出品者が匿名であり連絡手段がない場合は、インボイスを受領できないため、仕入税額控除の適用を受けることはできません(少額特例等に該当する場合を除く)。

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ETCを利用した場合のインボイスが大量に?

クレジットカードのETC料金について、仕入税額控除を適用するには、原則、簡易インボイスである「利用証明書」を「ETC利用照会サービス」で、ダウンロードして取得・保存する必要がありますが、「利用証明書」はETC利用の都度発行されるもので、その数は大量になります。何か良い方法はないのでしょうか?

クレジットカード会社の「クレジットカード利用明細書」の保存を条件として、簡易インボイスである「利用証明書」は、利用した高速道路会社等につき、任意の1回分を取得・保存すれば仕入税額控除は認められます。

例えば、A株式会社の高速道路を利用した場合、A社の「利用証明書」を1枚取得すれば、その後にA社の高速道路を利用しても、あらためてA社の「利用証明書」を取得する必要はありません。
A社でなはくB株式会社の高速道路を利用した際には、B会社の発行する「利用証明書」を1回分取得する必要があります。
つまり、「利用証明書」は利用した高速道路会社の数だけ保存すればよいことになります。

任意の1回分とはいえ、簡易インボイスである「利用証明書」は、「ETC利用照会サービス」でダウンロードする必要がありますので、そのためには、ETCクレジットカード等を「ETC利用照会サービス」で登録する必要があります。

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インボイス制度の少額特例とは?

インボイス制度では、10月1日以後に行った課税仕入れは、原則として、インボイス(適格請求書)の保存がなければ仕入税額控除を適用できませんが、一定規模以下の事業者については、インボイスがなくとも帳簿のみの保存で仕入税額控除が可能な特例(少額特例)があります。

少額特例の適用がある事業者は?

  • 基準期間(前々事業年度)における課税売上高が1億円以下の事業者
  • 特定期間(前事業年度開始日から6か月間)における課税売上高が5,000万円以下の事業者

対象となる取引金額と適用期間

税込1万円未満の課税仕入れについて、令和5年10月1日から令和11年9月30日までの6年間、インボイスがなくとも帳簿のみの保存で仕入税額控除の適用を受けることができます。
なお、1万円未満の課税仕入れの判定は、一取引ごと(一回の取引ごとの納品書や請求書等)の金額で判定します。
一商品ごとや月まとめの複数取引をまとめた請求書等の単位では判定しませんので注意が必要です。

免税事業者や個人からの課税仕入れでも対象

課税仕入れの相手方については、インボイス発行事業者だけではなく、免税事業者や個人からの課税仕入れについても少額特例の対象となります。
また、1万円未満の課税仕入れについては、相手方がインボイス発行事業者かどうかの確認や、受領した領収書等がインボイスかどうかの仕分け作業も不要となります。

インボイスの交付義務の免除ではない

少額特例は課税仕入れを行う買手側のインボイス保存要件の特例で、その相手方である売手側のインボイス交付義務は免除されません。
売手側がインボイス発行事業者の場合には、1万円未満の取引であるか否かにかかわらず、買手側から求められた場合は、インボイスを交付する必要があります。

少額特例は事務負担を大きく軽減する措置ですから覚えておきましょう。

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インボイス制度の2割特例とは?

免税事業者がインボイス発行事業者となる場合には、インボイス制度への移行から3年間(令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する各課税期間)、納税額を売上税額の2割とすることができる緩和措置(2割特例)が設けられています。

2割特例の適用がある事業者は?

インボイス制度によって、免税事業者からインボイス(適格請求書)発行事業者として課税事業者になった個人事業主または法人です。

  • 免税事業者がインボイス発行事業者の登録を受けて、登録日から課税事業者となった場合
  • 免税事業者が課税事業者選択届出書を提出した上で、登録を受けてインボイス発行事業者となった場合

などが該当します。

届出は必要はなく、申告時に選択可能

2割特例は、事前の届出は必要なく、本則課税と簡易課税のいずれを選択している場合でも適用が可能です。
ほとんどの場合、2割特例による計算の方が納税額は少なくなると思いますが、申告時に有利な方を選択することも可能です。

  • 本則課税 or 2割特例 申告時に選択可能
  • 簡易課税 or 2割特例 申告時に選択可能

適用対象期間に注意

2割特例を適用できる期間は、令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する課税期間となります。

2割特例は、免税事業者(消費税課税事業者選択届出書の提出により課税事業者となった免税事業者を含みます。)がインボイス発行事業者となったことにより、事業者免税点制度の適用を受けられない課税期間にのみ適用することができます。

したがって、基準期間における課税売上高が1千万円を超える課税期間などについては、2割特例の適用を受けることはできませんので注意が必要です。

例)個人事業主の場合

計算式

2割特例は、税負担の軽減を図るため、売上税額の2割を納税額とするものです。

具体的には、売上税額 - 売上税額×80% = 納付税額 (=売上税額の2割)と計算します。

2割特例は納税額の負担を大きく軽減する措置ですから覚えておきましょう。
ただ、適用対象期間の判定などは間違えやすいところなので、不安な場合は専門家に確認したほうがよいかもしれません。
当事務所でもインボイスに関する様々な相談を承っております。お気軽にお問い合わせくださいませ。

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免税事業者からの仕入税額控除には経過措置があります

小売業やサービス業では、インボイス制度開始後も免税事業者からの仕入れやサービスの提供を受けることが多数見込まれます。
免税事業者など適格請求書発行事業者以外の事業者からの課税仕入れであっても、経過措置により、6年間は一定割合を仕入税額控除できます。

仕入税額控除の経過措置の期間

  • 令和5年10月1日から令和8年9月30日までは、仕入税額相当額の80%
  • 令和8年10月1日から令和11年9月30日までは、仕入税額相当額の50%

消費税10%のうち、最初の3年間は8割の8%、次の3年間は5割の5%は仕入税額控除が可能ということになります。
この経過措置の適用するには、「経過措置の適用を受ける課税仕入れである旨(経過措置対象の旨)」の記載が必要です。

インボイス制度開始直後から仕入税額控除を全くできなくしてしまうと、免税事業者と取引を行っている課税事業者に急激な負担をかけることになります。
また、この制度が社会に浸透していない段階で、直ちに免税事業者との取引を敬遠するようなことを避けるために設けられた段階的な措置かと思います。

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