事業主のポケットマネーで経費を支払ってはいけないのか?
答えは、「支払ってもよい」です。
「事業用の現金から支払わなくてもよいのか?」と聞かれそうですが、経費は必ず事業用の現金を使用して支払う・・・などという規定はありません。
法人についても、社長がとりあえず立て替えておいて、会社できちんと精算処理を行えば何の問題もありません。
個人事業主がポケットマネーで経費を支払った場合の処理は、その取引の記帳と領収書の保存でOKです。
例えば、消耗品をポケットマネー100円で購入した場合の仕訳は、
借方:消耗品費 100 貸方:事業主借 100
という仕訳になります。
この「事業主借」という勘定科目は、事業主が個人財産を事業に持ち込んだときによく使用します。
「現金で支払ったのに、何で「現金」勘定を使用しないんだ?」と思われるかもしれません。
でもポケットマネーは、「事業用の現金」ではないんですね。
この仕訳は、事業主がポケットマネー(個人財産)をいったん事業に持ち込み、直ちに消耗品を購入したと考えれば理解しやすいでしょう。
借方:現金 100 貸方:事業主借 100
・・・まずポケットマネーを事業用にして、事業用の現金が100円増加し、
借方:消耗品費 100 貸方:現金 100・・・すぐに消耗品を購入し、事業用の現金が100円減少した。
実際に現金は動いていませんから、「現金」勘定を相殺(消去)すると、
やはり、借方:消耗品費 100 貸方:事業主借 100
という仕訳になります。
一方で法人の場合には、「事業主借」のような、ある意味便利な勘定科目はありません。
法人はそれ自体独立した人格ですから、きちんと精算処理を行い、会社は社長に立替分の現金を支払う必要があります。