「決算書」をなぜ作るのでしょうか?
答えは、企業の状況を知らせるためです。
正確には、企業の財政状態や経営成績を関係者に正しく知らせるためです。
関係者には、株主や債権者(金融機関)、経営者なども含まれます。
すべての企業は、
- お金を集め、
- そのお金を何かに投資して、
- 利益を上げます。
上の3つの活動を数字を使って表したのが、「決算書」です。
実際には、利益を上げること(だけ)が目的ではない企業もありますが、基本的に企業は「利潤の追求」をするものと考えます。
それは法人でも個人事業主でも同じです。
貸借対照表
決算書の中の「貸借対照表」を見れば、3つの活動のうち、「どのようにお金を集め」、「そのお金を何に投資したのか」を知ることができます。ちなみに「どのように利益を上げたか」は知ることができません。
貸借対照表の右側には、「負債の部」と「純資産の部」があります。
この右側をみれば、「どのようにお金を集めたか」がわかります。
貸借対照表の左側には、「資産の部」があります。
この左側をみれば、「そのお金を何に投資したのか」がわかります。
負債の部
この負債の部には、商品や固定資産に投資するため、「取引先などから集めたお金」を表す「買掛金」や「支払手形」や「未払金」、また、何かに投資するため、「金融機関などから集めたお金」を表す「借入金」などが表示されます。
「買掛金」や「支払手形」や「未払金」が「集めたお金」というのは少しわかりにくいかもしれませんが、取引先のお金でその取引先の商品や固定資産などを先に手に入れたという考え方をしてください。
この「買掛金」や「借入金」は、取引先や金融機関の資金を頼りにする、企業が他人から集めたお金です。
この他人から集めたお金を「他人資本」といい、いずれは取引先に支払ったり、金融機関に返済したりする必要があるお金です。
ですから、この負債の部の金額が必要以上に大きい場合には、資金繰りがうまくいっていない場合があります。
純資産の部
この純資産の部には、設立時や増資時に「株主などから集めたお金」を表す「資本金」、また、企業の営業活動を繰り返した結果、「集まった(もうけた)お金」を表す「利益剰余金」などが表示されます。
この「資本金」や「利益剰余金」は、取引先や金融機関の資金に頼らないで、企業が自分で集めたお金です。
この自分で集めたお金を「自己資本」といい、取引先に支払ったり、金融機関に返済したりする必要がないお金です。
この純資産の部は、会社がもうければもうけるほど金額も大きくなっていきます。
純資産の部を見れば、その企業がどうやって成長してきたかがわかります。
貸借対照表の左側の「資産の部」はまた次回に。