個人製造業の棚卸資産(在庫)の評価

個人製造業の棚卸資産(在庫)の評価について考えてみました。

棚卸資産(在庫)の種類

物品製造業で代表的なものを3つ

  • 原材料
  • 仕掛品
  • 製品

棚卸資産(在庫)の評価

原則として、決算日(12月31日)の実地数量×単価

個人製造業の場合の棚卸資産(在庫)の評価

小規模な個人製造業の場合、毎月きちんと原価計算を行うようなところは少ないと思います。
ですが、確定申告にあたって、在庫の計上(期末棚卸資産の評価)は行わなければなりません。

その場合に問題となるのが仕掛品や製品の製造単価です。

  • 原材料
    ・・・最終仕入原価法(法定評価方法)による場合、決算日(12月31日)に一番近い時期の仕入単価
  • 仕掛品
    ・・・数量×製造単価?×進捗率
  • 製品
    ・・・数量×製造単価?

仕掛品と製品については、基本的に原価計算を行っていないと製造単価はわかりません。

ある程度合理的な評価方法として、棚卸資産の売価に原価率を乗じて在庫を評価する方法があります。

まず、在庫として計上する仕掛品と製品の売価を求めます。
  • 仕掛品
    ・・・数量×販売単価×進捗率=期末仕掛品棚卸高(売価)
  • 製品
    ・・・数量×販売単価=期末製品棚卸高(売価)
原価率を求めます。(A/B)

  • =当期総製造費用+期首仕掛品棚卸高(原価)+期首製品棚卸高(原価)

  • =製品売上高+期末仕掛品棚卸高(売価)+期末製品棚卸高(売価)
売価に求めた原価率を乗じます。
  • 期末仕掛品棚卸高(原価)
    =期末仕掛品棚卸高(売価)×原価率
  • 期末製品棚卸高(原価)
    =期末製品棚卸高(売価)×原価率

上記の評価方法を売価還元法といい、あらかじめ税務署に届け出る必要があります。
また、当期総製造費用を集計するため、製造業用の勘定科目で記帳する必要があります。

小規模な個人製造業の場合、仕掛品や製品の在庫評価については、ある程度合理的な計算方法を、毎年継続して採用していれば問題ないと思いますが、税務調査に耐え得るかと言われれば、保証はできません。
そもそも、製造業の原価計算自体、その企業の考え方によるところが大きく、この計算方法が絶対正しいと言い切れるものではありません。
製造単価だけでなく、仕掛品の進捗率の把握についても同じことが言えます。

ポイントとしては、他の者から見ても合理的と思える計算方法を決め、継続してその計算方法を採用する。と言ったところでしょうか。

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