勘定科目

勘定科目の分け方 その2

勘定科目に絶対はありません。

絶対にこの勘定科目にしなければならないという決まりはありません。
毎月の試算表を作成するときは、勘定科目を細かく分けたり、新たに作成したりして、経営成績の把握に利用し、決算書を作成するときは、細かく分けたものをまとめ直してもOKです。

分け方のポイント

  • 判断基準を決めて、継続して同じ勘定科目を使用する。
  • 1回の取引金額が大きく、毎月の推移を把握したほうがよいものは必ず分ける。
    「売上高」、「役員報酬」、「給与」、「仕入高」、「外注費」など。
  • 金額が小さくなるものは、細かく分けすぎず、似た性質を持つ他の勘定科目に含めてもよい。
    「事務用品費」勘定の金額が小さくなるのであれば、「消耗品費」勘定に含めてもよい。
  • 金額が大きくなるもので、適当な勘定科目が見つからなければ、新たに作成する。
    研修にコストをかけている企業は、「研修費」勘定を作成するなど。
  • 一般的に使用されている勘定科目名を、よりわかりやすい勘定科目名に変更する。
    「法定福利費」勘定を「社会保険料」勘定に変更するなど。
  • 金額が比較的大きくなるもので、さらに内訳を知りたい場合などは、新たに作成する。
    通勤手当は、「旅費交通費」勘定を使用しないで、「通勤手当」勘定を作成するなど。
  • わかりやすくするため、あえて一つの勘定科目にまとめる。
    「ガソリン代」、「自動車保険」、「車検代」などは、「車両費」勘定にまとめるなど。
  • 毎月の金額が一定になるものは分けておく。
    「保険料」、「事務所家賃」、「リース料」など。
  • 消費税のかからないものは分けておく。
    「租税公課」、「保険料」、「諸会費」、「支払地代」など。
  • 試算表をパッと見てわかりにくい勘定科目は、わかりやすいものにする。
    「租税公課」勘定を使用しないで、「事業税」勘定や「固定資産税」勘定を作成する。
  • 「雑費」勘定はなるべく使用しない。

ポイントはざっとこんな感じでしょうか。

どの勘定科目がわかりやすいのかは、人によって微妙に違います。
自分がわかりやすい勘定科目を使用しましょう。
前回の投稿「勘定科目の分け方 その1」で説明した5つのカテゴリーさえ間違えなければ大丈夫ですよ。

勘定科目の分け方 その1

勘定科目の分類は、まず5つのカテゴリーから。

勘定科目の分類に迷う、初心者の方向けのお話です。

勘定科目の種類を全部覚える必要はありません。細かく分類しようとするとキリがありません。
勘定科目名は、書籍などを参考に一般的なものを使用してもいいですし、独自の科目を設定してもOKです。
でも、使用する勘定科目が、次の5つのカテゴリーのどれに属するか?は必ず確認してください。

  • 「資産」勘定・・・企業が所有する財産で、現預金、売掛金・未収金などの債権、建物・備品などの固定資産など
  • 「負債」勘定・・・企業の支払義務で、買掛金・未払金・借入金などの債務など
  • 「純資産」勘定・・事業に必要な自己資金で、株主からの出資金、事業主の元入金など
  • 「費用」勘定・・・企業が支払ったあるいは支払うべき代価で、人件費や交際費など
  • 「収益」勘定・・・企業が実現した価値の増加(収入)で、売上や雑収入など

この5つのカテゴリーを間違えなければ、会計の利益計算、税金の所得計算を間違えることはまずありません。

例えば、比較的わかりやす間違いとして、「旅費交通費」100円を「通信費」100円で処理したとします。でも利益の計算結果は同じになります。
なぜなら、「旅費交通費」勘定と「通信費」勘定は同じ「費用」勘定のカテゴリーにいるからです。

  • 収益300円(売上)-費用100円(旅費交通費)=利益200円
  • 収益300円(売上)-費用100円(通信費)=利益200円

企業の最終的なもうけの金額(当期純利益)はどちらも同じです。
まずは、この当期純利益を間違えないようにすることが先決です。当期純利益(当期の所得)を間違えると、税金を多く納めすぎたり、少なく収めたりすることになるからです。

一方で、その「費用」の内訳が知りたい場合は、上記の処理はやはり問題があります。
費用100円は、電車の利用(旅費交通費)からではなく、電話をかけた(通信費)から発生したものです。
勘定科目の分類は、税金の計算のためだけに行うものではありません。やはり一つ一つ正確に分類する必要があります。

詳しい勘定科目の分け方のコツなどは、また次回に。

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