所得税

青色申告特別控除に必要な帳簿

青色申告の目玉である65万円の控除を受けるためには、次の帳簿を作成する必要があります。

主要簿(必ず作成しなければならない帳簿)
  • 仕訳帳
  • 総勘定元帳
補助簿(必要に応じて作成する帳簿)
  • 現金(小口現金)出納帳
  • 預金出納帳
  • 売上帳、仕入帳
  • 受取手形記入帳、支払手形記入帳
  • 商品有高帳
  • 売掛金元帳、買掛金元帳
  • 固定資産台帳

基本的に仕訳帳と総勘定元帳があれば問題ありませんが、この二つの帳簿を手書きで作成するとなると、簿記の知識が必要となってくるでしょう。

10万円の控除でいいなら、次の帳簿を作成するだけでOK。

  • 現金出納帳
  • 売掛帳、買掛帳
  • 経費帳
  • 固定資産台帳

仕訳帳や総勘定元帳に比べれば楽に作成できます。

10万円控除の帳簿に次の帳簿を加えても、65万円の控除が受けられます。

  • 預金出納帳
  • 特定取引仕訳帳、特定勘定元帳
  • 受取手形記入帳、支払手形記入帳

特定取引仕訳とは、現金、預金、売掛金、買掛金勘定などを使用しない特殊な仕訳で、主に決算で使用します。その仕訳の元帳が特定勘定元帳です。

正直、会計ソフトを購入して、簿記の理解に苦しむことなく65万円の控除を受けるのが一番いいと思いますよ。

帳簿書類の保存期間

所得税に関する帳簿書類は、青色申告者と白色申告者では、保存が必要な帳簿書類と保存期間が異なります。

青色申告者の保存

  • 帳簿
    仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳など
    ・・・7年
  • 決算関係書類
    損益計算書、貸借対照表、棚卸表など
    ・・・7年
  • 現金預金取引等関係書類
    領収書、小切手控、預金通帳、借用証など
    ・・・7年
  • その他の書類
    請求書、見積書、契約書、納品書、送り状など
    ・・・5年

白色申告者の保存

  • 収入金額や必要経費を記載した帳簿(法定帳簿)
    ・・・7年
  • 業務に関して作成した上記以外の帳簿(任意帳簿)
    ・・・5年
  • 決算に関して作成した棚卸表その他の書類
    ・・・5年
  • 請求書、納品書、送り状、領収書などの書類
    ・・・5年

保存期間は、翌年の確定申告期限3月15日の翌日(3月16日)から始まります。
青色、白色ともに5年~7年の保存期間なので、申告書の控と一緒に各年分にまとめて保存しておき、7年を経過したら廃棄すれば問題ないでしょう。
でも、重要な契約書などは一緒に廃棄しないように注意してくださいね。

白色申告者の記帳

最近は会計ソフトで記帳するのが主流で、税務署への届出とパソコンへの入力で、簿記の知識が無くても簡単に65万円の青色申告控除が受けられます。
平成26年からは白色申告者でも例外なく記帳しなければならなくなったため、あまりメリットがないように感じますが、白色申告者は帳簿の様式や種類が特に定められていないため、手書きやEXCELでの簡単な記帳で決算書(収支内訳書)が作成できます。

ズバリ白色申告者の記帳は、

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基本的にこの帳簿を月別に作成するだけでOKです。

次のケースでは、日々の合計金額だけをまとめてこの帳簿に記入することができます。

  • 小売業や飲食店などの現金売上や、少額な現金売上、雑収入、現金仕入、その他の経費。
  • 納品書、請求書やその控などにより内容が確認できる売上取引や仕入取引。

決算整理についても、棚卸表などは別途作成する必要がありますが、基本的にこの帳簿に記入します。

白色申告者の収支内訳書は、収入金額、必要経費、棚卸資産、減価償却資産(建物、機械、備品など)を計算すれば作成できるので、必然的に帳簿もシンプルなものになりますね。

この帳簿の作成は、

を参考にすれば作成できます。

それでも65万円の控除は大きいですから、私は青色申告をおすすめしますけど。

馬券の払戻金は一時所得?

今まで馬券の払戻金は一時所得に該当するとされ、当たり馬券の購入費用しか必要経費になりませんでした。

しかし、今回の外れ馬券訴訟の最高裁判決を受けて、一定の要件を満たせば払戻金が雑所得に該当することになります。つまり、購入した多くの外れ馬券が必要経費として計上できることになります。

雑所得に該当する場合の要件は、要約すると以下のとおり(所得税法基本通達34-1より)。

  • 馬券を自動的に購入するソフトウエアを使用する。
  • 独自の条件設定と計算式に基づいて購入する。
  • インターネットを介して購入する。
  • 長期間、多回数、頻繁に、網羅的に購入し、当たり馬券の配当金を得る。
  • 多額の利益を恒常的に上げる。
  • 一連の馬券購入が一体の経済活動であること。

以上です。(笑)

今回の訴訟ついては、私も事例研究していた時期があるので補足すると、被告人は馬券を継続的に投資目的で購入しており、数年にわたって回収率は100%を超えていました。
また、購入にあたってはJRAのiPAT(馬券購入サイト)を利用し、購入する馬券は既存のソフトウエアに独自の条件プログラムを加え、偶発性、射幸性(ギャンブル性)を極限まで排除していました。

そのような特殊な購入形態が、営利を目的とした継続的行為と認められ、雑所得として外れ馬券の購入費用も必要経費になりましたというケースです。

雑所得になる場合の要件を見てもらえばわかりますが、極めて限定的で該当する人がいるとは思えません。

競馬をギャンブルとして楽しむ分には、外れ馬券は経費になりませんのであきらめましょうね。

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