所得税

出張旅費・日当は非課税

所得税が非課税になる出張旅費・日当とは?

出張などのための旅費のうち、通常必要と認められるもの」です。

非課税の要件は?

法人の場合には、出張旅費規程などを作成し、全ての役員、従業員に対して、その規定に基づいた金額が支給されていれば非課税となります。

ただし、その出張などに通常必要と認められる範囲内という条件付きです。

ポイントは

・役員及び使用人の全てを通じて適正なバランスが保たれているかどうか。

同業種、同規模の他の法人などが一般的に支給している金額に照らして相当であるかどうか。

つまり、社内のバランスが保たれていて、同業他社と同じくらいの金額であれば非課税ということでしょう。

具体的な金額は、自社で適切な金額を判断し運用していくことになります。

住宅ローン控除の特定取得とは?

所得税の減税、住宅ローン控除には、「特定取得」というものがあります。
「特定取得」とは、住宅の購入、新築、増改築について、対価や費用に含まれる消費税が8%または10%であった場合のことです。
すなわち、消費税の増税後(5%→8%)に購入などをした場合のことですね。
特定取得に該当すると、住宅ローン控除により減税される金額が大きくなります。

特定取得に該当する場合(8%または10%による購入など)

  • 最高5,000万円までの借入金残高×控除率1%=最高50万円の控除

特定取得に該当しない場合

  • 最高2,000万円までの借入金残高×控除率1%=最高20万円の控除

次の場合には、特定取得に該当しませんので注意してください。

  • 対価や費用に含まれる消費税が、5%の税率であった場合
  • 個人間の売買契約により、対価や費用に含まれる消費税がない場合

消費税は、事業者が、事業として、対価を得て行う場合に課税される取引です。
事業者ではない個人間の売買は、消費税の課税取引ではないため、特定取得に該当しません。
なお、事業者であれば、免税事業者からの取得であっても、特定取得に該当します。

損害賠償金などを受け取ったら課税される?

個人事業主が取引先などから損害賠償金などを受け取ったら課税されるのでしょうか?

課税される場合とされない場合があり、どのような原因で受け取ったかによって、取扱いが異なります。

課税されるもの

  • 債務不履行により受け取るもの
    ・・・違約金、遅延利息
  • 必要経費に算入される金額を補てんするために受け取るもの
    ・・・従業員の給料、一時借店舗の賃貸料、その他通常の維持管理費用などを補てんするもの
  • 資産の損害を原因に受け取るもので、棚卸資産などの収入金額に代わる性質を有するもの
    ・・・棚卸資産の火災保険金、特許権の侵害による補償金
  • 店舗、車両などの固定資産の損害による収益の補償
    ・・・復旧期間中の休業補償金
  • 資産そのものの損害の補償で約束されているもの
    ・・・収用などにより漁業権などが消滅するために受け取るもの

課税されないもの(非課税のもの)

  • 身体の傷害や心身の損害を原因に受け取るもので、給与または収益の補償
    ・・・給与所得者が加害者から受け取る給与の補償料
    ・・・事業所得者が加害者から受け取る収益の補償料など
  • 身体の傷害や心身の損害を原因に受け取るもので、慰謝料その他精神的補償料など
    ・・・示談金、慰謝料
  • 身体の傷害や心身の損害を原因に受け取るもので、見舞金
    ・・・いわゆる災害見舞金で相当なもの
  • 資産の損害を原因に受け取るもので、資産そのものの損害の補償で突発的なもの
    ・・・店舗、車両の損害により受け取る損害賠償金、火災保険金(必要経費に算入される金額を補てんする部分を除く)

基本的に、身体の傷害や心身に加えられた損害を原因に受け取るものは、非課税と考えていいようです。

生命保険金にかかる税金

生命保険契約の満期保険金にかかる税金は、契約者(保険料負担者)と保険金受取人が誰かによって異なります

契約者(保険料負担者)と保険金受取人が同じ場合。

この場合は、本人に所得税(一時所得)がかかります。

計算式は、
{(満期保険金-払込保険料の総額)-50万円}×1/2=所得税(一時所得)の対象

50万円の特別控除があり、さらに控除後の2分の1だけが税金の対象となりますから、かなり有利です。

契約者(保険料負担者)が保険金受取人が異なる場合。

この場合は、保険金受取人に贈与税がかかります。

計算式は、
満期保険金-110万円(基礎控除)=贈与税の対象

満期保険金から110万円のみの控除となりますから、税負担は所得税(一時所得)よりも重たくなります。

生命保険契約の死亡保険金は、通常、相続税がかかります。

契約者(保険料負担者)と被保険者が同じで死亡した場合。

相続税の対象となりますが、非課税枠があります。

計算式は、
500万円×法定相続人数=非課税となる金額

非課税枠は法定相続人が多ければ多いほど有利になります。

まとめると、

  • 自分が保険料を払い込んで、自分が保険金をもらう。・・・所得税がかかる(投資の意味合いが強い)。
  • 自分が保険料を払い込んだのに、自分がもらえない場合。
    • 自分が生きている。・・・贈与税がかかる(死んでいないので相続ではない)。
    • 自分が死んでしまった。・・・相続税がかかる(死んでしまったので相続)。

例外もありますが、こんな感じで覚えておくとよいでしょう。

開業前の経費はどうしたらいいの?

個人事業主で、開業日までにかかった費用は、開業費として結果必要経費になります。

開業費は文字どおり開業のときにしか出てこないもので、計上方法などのポイントをいくつか。

  • この開業費は繰延資産とよばれるもので、いったん全額資産に計上します。
    その後、通常は決算で全額償却(必要経費)します。
    また、開業年に全額償却しないで、一部を翌年以降に償却することもできます。
  • 開業からどれくらい前までなら開業費として認められるのでしょうか?
    期日は特に決められていませんが、3年前というのはさすがに無理です。おおよそ1年ぐらい前までなら大丈夫でしょう。
  • 開業前の費用は、個人のお金で支払っている場合が多いです。まだ会社の現金はこれだけ、と決めていない場合も多いでしょう。
    そうすると「現金」という勘定科目が使えない場合もあります。

    • 開業費がある程度まとまった金額になった場合には、
      開業日に、資産:「開業費」と、資本:「元入金」で計上しましょう。
    • 少額(おおよそ10万円未満)の場合には開業費として計上しないで、
      費用:「旅費交通費」や「通信費」などの一般的な科目と、負債:「事業主借」で計上しても問題ないと思われます。
  • 開業費の中に10万円以上の減価償却資産(附属設備、機械、備品など)がある場合には、開業費に含めてはいけません。
    資産に計上し、減価償却により減価償却費(必要経費)を計上します。

ざっとこんな感じでしょうか。

同一生計親族に支払う家賃など

所得税の規定でいまいちピンと来ないのが、所得税法56条の「親族が事業から受ける対価の取扱い」です。

この規定によると、居住者(事業主)が同一生計の親族に支払う給与、賃借料、支払利息などは必要経費にならず、同一生計の親族側が給与、賃借料、支払利息などの支払を受けても、その収入(受取り)はないものとみなされます。
また、同一生計の親族が居住者の事業のために支払う賃借料、保険料、固定資産税や、居住者の事業に使用した同一生計の親族が所有する資産の減価償却費、資産損失などは居住者の必要経費になります。

ただし、給与については所得税法57条に例外規定があり、白色申告者は一定額まで、青色申告者は税務署に届け出ていれば適正額を必要経費にできます。

なんでこんなメンドクサイことをするの?と思うのが普通です。

配偶者や子が事業を手伝い、父母のお金や所有する建物を借りて事業を営むことは何ら不思議なことではなく、その対価である給与、賃借料、支払利息などを素直に必要経費とできれば済む話ですよね。

所得税の課税は、所得(もうけ)が一定額を超えると、その超えた部分により高い税率を適用する超過累進税率により行われます(例外あり)。ですから、実際にはまったく働いていないにもかかわらず親族に給与を支払ったことにしてしまえば(ダメですよ)、家族内で所得を意図的に分散させることができ、家族単位では納税額を少なくすることができてしまうので、この56条の規定はそのようなことを防ぐためだと言われています。

ですが、この56条の規定は昭和23年改正からあるもので、昔と今とでは家族形態も大きく変化しています。
さらに57条の「事業に専従」していないと給与として認めないというのは、現在の男女共働きの世の中、普段は他の会社の社員、パート、アルバイトとして働き、空いた時間に家業の総務や経理などをしても、その家業の労働の対価はないと言っているわけで、現代の労働の価値感するとおかしな感じがします。

ちなみに、同一生計の親族(生計を一にする親族)とは、居住者と「生活の資を共にする親族」という意味で、基本的に同じ家屋に起居してたり、居住者が仕送りなどをしないと生計が立てられない親族のことをいいます。ですから自立して別々に住んでいる親族の場合には、56、57条の規定は適用されません。

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